穂高:横尾谷一周
by ハナミズキ
昨年の10月3連休に大雨で断念した横尾谷に再度入ることにした。計画は次の通りである。
第1日目:上高地〜横尾山荘(泊)
第2日目:横尾山荘〜本谷橋〜二俣〜横尾谷左俣〜大キレットA沢のコル〜南岳山荘(泊)
第3日目:南岳山荘〜横尾尾根・天狗原のコル〜横尾谷右俣〜本谷橋〜横尾〜上高地〜帰京
単独行の予定であったが、甲府の友人から、滝谷RCの前に左俣をやりたいとの連絡があり、2日目のA沢のコルまで同行となった。
1、日時 2006,8,26(土)~8,28(月)
2、メンバー 単独(左俣のみ友人Aと)
3、交通 往復共にさわやか信州号
4、行程
【8月26日:土】
新宿7:30出発→(さわやか信州号)→13:00上高地→16;20横尾山荘(泊)
予定より1時間弱遅れて上高地着。今日は、横尾山荘で友人と落ち合うだけなので、いつもは脱兎ごとく通り過ぎる横尾までの道をあちこち寄り道をして行くことにする。ビジターセンターの見学も初めて。明神橋で対岸に渡り、ひょうたん池への取り付き点を確認しながら新村橋を渡り返して横尾山荘着。友人Aの方が先に着いていた。
【8月27日:日】
横尾6:00→6:56本谷橋→8:45二俣→(横尾谷左俣)→12:40大キレットA沢のコル13:05→14:45南岳小屋(泊)
雲は多いが、晴れている。時間はたっぷりあるのでゆっくり楽しむことにする。本谷橋で一般登山道と別れて横尾谷へ踏み込む。左岸をへつり、時に高巻きながら二俣着。Aは、気力・体力・技術、ルーファイ力にも優れ、なにより好奇心旺盛。またとないパートナーだ。
二俣出合いで左俣に渡渉。少し登った所で休憩。ここから見る屏風岩の形は面白い。Aは、9月に屏風岩雲稜ルートをやるので、ヴァーチカルなスカイラインを興味深く見つめている。左俣を見上げると雪渓が残っているのが見える。かなり悪そうだ。
横尾谷左俣は丁度、漏斗を縦半分に切った形をしている。上縁の左三分の一が北穂岳東面の末端壁、中央が大キレットの岸壁、右側が南岳の東南壁で構成された巨大なカールであり、落ち口がゴルジュとなって、二俣へなぎ落ちている。このカールに降った雪は、全て落ち口めがけて滑り落ちてくる。今年のような豪雪でなくても、狭い谷の中間地点(2200m位)に雪が残っているのは、そうした理由からであろう。今年は豪雪の影響で、左股へ入るとすぐに、崩壊した雪渓が巨大なブロックとなって谷を埋め、また、両サイドの岸壁に残骸が張り付いて屋根のようになった所もでてくる。スノーブリッジあり、クレバスありで、適宜、ルートを見つけ確保しあって慎重に難所を越える。難所の中間地点で、右岸から北穂の滝。丁度、北穂の池の下辺りか。下部はハングした岩なので、滝は途中から空を流れ落ち、水量も豊富で美しく豪快だ。
ゴルジュの雪渓も滝の上部で終わる。漏斗の落ち口へ急な岸壁を登り挙げると、一気に視界が開け、その鮮やかな場面展開に、Aが歓声を上げる。クレーターの底に居る気分がする。
休憩して、A沢のコル目指し、ゴーロ帯を登る。ガスが出てきたので、急いで磁石で方向を合わせる。ガスが、飛騨側からA沢のコルを越えて液体のように流れ込んでくる。不気味でもあり、美しくもある。途中で振り返ると、北穂の池が光って見え、その背後に屏風岩の頭がのぞいている。もう、はるかに下だ。
12:40、A沢のコルへ登り挙げる。互いの努力をたたえ、無事を祝って握手。縦走者に記念撮影をお願いする。昼食を取り、Aとはここでお別れだ。彼女は今晩、北穂小屋で滝谷pと合流。明日登攀予定だ。私は南岳小屋へ。
大分ガスが出てきて雨になりそうなので、互いに「気をつけてね。」と声を掛け合い、先を急ぐ。
長谷川ピークでつがいの雷鳥に出会う。ガスで3m先ぐらいまでしか見えない。南岳の最後のハシゴを越えた頃からポツポツし始める。駆け込むように南岳小屋に入って1分もしないうちに、ものすごい大雨となる。セーフ。Aも間に合っただろうか。南岳小屋に泊まるのは、群発地震の時以来だから、7〜8年ぶりか。
【8月28日;月】
南岳小屋4:40→5:40横尾尾根:天狗原のコル→(天狗原・氷河公園)→8:35槍沢ロッジ→9:50横尾→12:00上高地14:00発のバス→20:50横浜
雨は夜通し降った。朝3:50起床。自炊で朝食を済ませ外へでるが、止んでいない。右俣の下降地点で雨なら、槍沢経由で下山することに決め、ヘッドランプを点けて出発。ガスで視界がきかないので、ペンキマークを一つ一つ慎重に確認しながら、1時間で天狗原の最低コルへ到着。
残念ながら、雨は止まない。おまけにホワイトアウトだ。槍沢経由で下山と決めるが悔しいので、ロープを出し、50mほど下降。また登り返して、次回を心に期し、天狗原へ下降する。
天狗池への中間地点で大きな雪田。しかしホワイトアウト。どこを目指してこの雪田を渡ったらよいのか全く分からない。磁北線を記入した持参の地図とコンパスで方向を定めて、そろりと歩き出す。30mほどだろうか、対岸の岩が見え、うっすらとペンキ印を認めてほっとする。当たり前だけれど、磁石って優れもの!!!
天狗池に着く頃、少しガスが散れる。池の左側には雪田が落ち込んでいる。晴れていれば、逆さ槍が映った良く見るポスターの絵だが、今日は何も見えない。アオノツガザクラの群生が美しい。
槍沢をひたすら下る。途中、おじいさん3人組み(私も名実共にばあさんだが、私より年上という意味!)が道を譲ってくれる。二人目の横を通り過ぎようとした時、おじいさんがバランスを崩して、何と、私を掴む。私もバランスを崩し岩に転倒。目から火花が散る。しばし痛みで起き上がれない。呼吸を整えて起き上がる。おじいさんは仲間が支えて無事。私を心配して「メンソレータム塗りますか。」と声をかけてくれる。断って怪我を確認。右目上の額、右上腕、左脛、右頭部が痛む。少し血が出ているが医者に行くほどのことは無いと自己診断。先を急ぐ。「顔は厚化粧でごまかせるかな? 腕は長袖だな・・・、脛はロングスカートで隠して・・・、あ、買ったばかりの無線機は壊れなかったかな?」そんなことばかり考えながら歩く。(我ながら、超現実的!)
上高地13:30集合・14:00発の長距離バスに乗る。その前にコインシャワーを浴びたいし、怪我の状況も確かめたいので、12:30には上高地に着きたい。横尾―上高地間を休憩を含めて2時間10分で歩き、12:00に上高地着。ゆっくり昼食をとり、シャワーを浴びて怪我の状態も良く調べることが出来た。上高地は異常な人出。バスはことごとく遅れている。20;00には家に着きそうにないので、篠さんに下山TELをして、バスに乗り込む。
横尾右俣は来年の課題に残しておこう。やっぱり、秋が良い。